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世界金融経済危機と中国経済の見通し

――最初の経済不況脱皮国になる可能性大――

                       理事長 凌 星光

 

 米国のサブプライム・ローン問題が発展し、089月、リーマン・ブラザーズが倒産、一大金融危機が発生した。アメリカ発の国際金融危機は、瞬く間に世界に広がった。当初、EUはユーロの地位向上のチャンスと見たが、同じような金融危機に見舞われ、米国と共に対策に追われることとなった。日本はバブル経済崩壊後の失われた10年の経験があり、諸銀行は慎重な姿勢をとっていたため、ダメージは比較的小さく、金融情勢は良好な状況にあった。その蓄積された金融力を利用して、国際金融世界で攻勢に出ようとさえした。しかし、金融危機の影響が実体経済に及びだすと、輸出依存の日本経済の脆弱性が顕在化し、工業生産が萎縮し、大量の失業者を出すこととなった。

 

  鄧小平の経済政策は、「一部の人、一部の地域を先に富ませ、落伍した人、地域を援助させよ」というものであった。
  いわゆる「先富論」である。確かに一部の人、一部の地域は裕福になったが、裕福になった人や地域は「先富」に専念し、落伍した人や地域を「援助」しなかった。

  対中投資の魅力の一つが、「二免三減」といわれる外資優遇税制である。外資企業は利益がでてから、二年間が全額免除、三年間は半減というものである。中国の企業所得税(企業法人税)33%に対して、開発区に進出した外資は15%或いは24%という低率である。
  3月16日に全国人民代表大会(全人代)で採択された企業所得税法は、世界貿易機構(WTO)の内外無差別原則に基づき、国内企業、外国企業ともに税率を25%に統一するというものである。施行時期は、2008年1月の見込みであり、 施行後5年間は猶予期間とされ、完全に撤廃されるのは2013年となる。
  但し、ハイテク企業は、内資・外資ともに15%、中小企業で一定条件を満たしたものが20%、重要インフラも減免を享受できることになっているが、その基準は未だ発表されていない

◆日系企業の対中投資が減少へ

  日本が対中特需に沸いた04年以降、世界の対中投資は、3年連続で600億ドルという高水準を維持している。だが、日系企業の投資は、05年の63億ドルから06年の46億ドルへと大幅な減少を示した。
  この原因は、経済発展に伴い、安価であった土地・労働力、人民元が上昇し始め、更には優遇税制の撤廃を見越してのことであり、日本特有のものとしては、05年春の排日運動の影響と自動車・エレクトロニクスなどの投資が一巡したことである。
  中国側の戦略は、ローテク企業を沿海地区から内陸へ誘致することにより、地域格差を是正し、沿海地区にはハイテク企業を誘致して産業構造を転換するという一石二鳥を狙ったものである。
  しかしながら、外資系企業全てが内陸部へ移動するわけでもない。ローコストという点ではベトナムが注目を浴びている。チャイナ+ONEである。中国とは陸路でも結ばれており、中国企業そのものも、投資を始めている。内陸部も、投資環境を魅力あるものに変えていかなければならない。
 中国はローコストの加工貿易で1兆ドルという莫大な外貨準備高を誇るに至った。元の切り上げを初めとするコスト上昇は、必至である。インド、ベトナムが急追している。外資依存の経済発展は、早晩、転換せざるを得ない。
  06年から商務部は、投資の先行指標である投資契約高を発表しなくなった。日系企業以外も、対中投資の減少が予想されている。「世界の工場」から「世界の市場」への移行が進行しつつある。
  日本国内の自動車市場は、90年に778万台だったが、06年には574万台に減少している。他方、中国は06年時点で720万台にまで増え、日本を抜き去った。携帯電話も既に4億台を超えており、国内市場も成長してきた。元の切り上げは輸出に不利だが、国内消費には有利となる。GDP寄与度の変化は、元のレートによるところが大きい。

◆中国の貿易黒字が2000億ドル突破

  11月12日、中国税関総署は、1月から10月までの貿易黒字が2123億ドルに達したことを発表した。年末には、2500億ドルを超える模様。年間の黒字額は、昨年の1775億ドルが最高だった。
  黒字拡大の牽引役である輸出は、1~10月で、9858億ドルと対昨年比26.5%増。輸入が同期7734億ドルの同19.8%増にとどまり、大幅な黒字となった。輸出の稼ぎ頭は「電気製品・機械」で、5622億ドル(30%増)となり、輸出全体の57%を占める。伝統的輸出産業であった衣類の輸出が23%増にとどまり、付加価値の高い産業へのシフトが進みつつあることが分かる。
  黒字の主因が低く設定されてきた元の為替レートにあることは間違いない。 取分け、最大の赤字国であるアメリカ、ユーロ高にある欧州各国の元の切り上げ要求が益々強まる情勢となった。

◆知的財産権の係争において、日系企業が勝訴で結審

  11月12日、ケンウッドが、「中国における商標権、意匠権、著作権侵害に対する模倣品裁判において、すべて勝訴で結審」と発表した。
  同社は、中国企業3社の同社に対する①商標権侵害および不競法違反、②著作権侵害、③意匠権侵害の計3件の訴訟を中国の北京第一中級人民法院に提訴し、4月の第一審判決で全面勝訴した。
  その後、相手方の上告により審理されていた北京高級法院においても、上告棄却による第一審判決維持という全面勝訴となった。
  これにより、中国企業3社に対して損害賠償(総額430万元、約6,665万円)の支払い命令が出された。

  07年12月20日、中央銀行である中国人民銀行が、民間銀行の貸し出しと預金の基準金利を引き上げ、金融引締めの姿勢を示した。
  期間一年の上げ幅は貸し出しが0.18%、預金が0.27%であり、基準金利は貸し出しが7.47%、定期預金が4.14%となった。 但し、消費者物価指数(CPI)2007年の上昇率は4.5%(消費の3分の1を占める食品価格は15%)であり、実質金利が依然マイナスである。

 2001年12月に中国がWTOに加盟してから6年が経った。貿易総額は毎年20%以上の増加し、世界第3位の貿易大国となった。輸出は、ほぼ5倍の1兆2180万ドルとなり、アメリカを抜き、ドイツ(1兆4000万ドル)に次ぐ世界第2の輸出国である。輸入が4倍強に止まり、貿易黒字は11倍強に達し、外貨準備高も7倍となり、世界最大の1兆5千億米ドルに達した。第2位の日本(1兆ドル弱)を大きく引き離している。
  中国の最大貿易相手国はEUであり、第2がアメリカ。第3に日本がつづく。
日中両国の貿易総額は2360億ドル、うち対日輸出は1339億ドル、対日輸入が1020億ドルであった。日本の対中貿易は赤字だが、対香港貿易の黒字がこれをカバーしている。
  2008年にはドイツを抜き、中国が世界最大の輸出国になると予測されている。
正に世界の工場である。しかし、中国の輸出を担っているのが外資系企業であり、対外輸出の67%を占めている。中国企業は、労働集約型の産業が過半を占めており、技術力の強化と独自技術の開発力が求められている。



             中国の輸出入                       単位:億ドル

中国輸出入07.gif

中国外貨07.gif

 

 中国のGDP(2007年)

 07年の中国の国内総生産(GDP)実質成長率は11।4%と03年から5年連続の二桁成長となり、02年の2倍となった。名目GDP総額は、24兆6619億元。
  拡大する貿易黒字と旺盛な建設・設備投資が、高度成長のけん引役であった。
 同日のレートで換算すると約3兆4130億ドル(約363兆円)となり、ドイツの3兆5419ドルとの差は、僅か1289億ドルである。成長率と元の切上げ傾向を勘案すれば、08年はドイツを抜き、米日に次ぐ経済大国となる。
  しかしながら、中国は人口が13億を数え、国民一人当たりのGDPは2600ドルに過ぎず、開発途上国という位置づけになってしまう。沿海主要都市の一人当たりGDPは高く、広州は1万ドルに達しており、上海、北京がこれに続く。
 他方、内陸部は貧しく、最も貧しい地域では1000ドル程度。最上位と最下位では、10:1の比率となる。
 因みに、消費者物価指数は4,7%上昇。うち食品が12।3%、豚肉で31%であった。


 

中国GDP(07年).gif

◆中国のGDPと貿易(ドルベース) 


1.GDP   

  世界銀行が7月1日に発表した統計によれば、中国のGDPが世界第4位となった。経済成長率は引き続き10%を超え、今年にもドイツを抜いて第3位に躍り出る見込み。但し、一人当たりGDPは、2000ドルと依然低く、世界第111位となる


  2006年GDP上位5カ国



2.貿易


  1)2006年対世界輸出入




  貿易黒字は1775億ドルという巨額に達するが、その80%強の1443億ドルが対米黒字である。

 
  2)2006年対日輸出入
 


  対日収支は、257億ドルの黒字となっているが、日本の対香港黒字が349億ドルあり、その殆どが中国へ再輸出されているので、日中貿易は、実質上、均衡を維持している。

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