◆『労働契約法』が2008年1月1日から施行
2007年6月29日、『労働契約法』が公布され、2008年1月1日に施行されることになった。『労働法』第二章「労働契約及び集団契約」(6条~52条)を独立させ、『労働契約法』(五章98条)とした。労働者の保護と長期雇用促進が、詳しく明確に規定されたのである。
労働契約は、同法10条により1ヶ月以内の締結義務が規定され、1ヶ月を超えても(1年以内)締結しなかった場合、雇用者は給与の倍額を支払わなければならない。また同法第9条により、逃亡予防策として行われてきた身分証明書の強制保管・保証金の強制積み立てが禁止された。長期雇用促進については、第14条に、10年以上勤務したもの(第1項)・契約を2回更新したもの(第3項)は期間の定めなき雇用(正社員)へ移行することが規定されている。
派遣会社は、50万元以上の資本金(57条)及び派遣社員と2年間以上の雇用契約(58条)が義務づけられた。試用期間についても、最長の6ヶ月の場合は契約期間を3年以上(19条)、給与は社内同等業務の80%以上(20条)と定められ、その濫用を防いでいる。
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◆最低賃金の改訂と賃金動向(2007年)
2007年9月1日、上海市の最低賃金が750元から840元に引き上げられ、深圳特区の810元を超え、最高額となった。同日、マクドナルドは、中国国内815店舗の給与を12%~56%(平均30%)引き上げた。中国に進出して17年が経つが、初めての賃上げである。現場従業員に手厚く、アルバイトで働く学生の賃金が最も大幅に引き上げられた。しかし、販売価格は据え置き。労働効率を高め、賃上げ分を吸収するという。
1992年、鄧小平の南巡講話により、中国は外資導入に大きく踏み出した。目的は資本と技術。その代価が、使い勝手の良い低廉な労働力であった。10年以上も賃金が殆ど上昇せず、企業も大きく成長し、資本も蓄積できた。しかし、低賃金政策も、格差があまりにも大きくなり、限界に達した。それは外資系企業に止まらず、中国企業にも当て嵌まる。
最低賃金上昇率の全国平均は、18%である。大幅上昇の理由として、第一に物価取分け食料品の高騰に影響を受ける低所得者に対する配慮と格差是正がある。今後、地方政府は、物価上昇率を見ながら、適宜、最低賃金を改訂していかなければならない。第二が安価な労働力に対する諸外国からの批判がある。大幅な貿易黒字と出稼ぎ労働者など劣悪な労働環境の二点からなる。第三は産業構造の高度化である。労働契約法と相俟って技能者の底上げと長期雇用を推進し、技能向上を図ることにより、技能者に対するハイテク産業のニーズを満たそうとするものである。
◆広東省の外資系工場が内陸へ移転を始める
2004年春節に始まった深圳、東莞などの労働力不足が契機となり、賃金がこの2年間で4割上昇しており、最低賃金も610元から810元に引き上げられた。広東省でも、内陸部は賃金が500元程度であり、香港、台湾の企業が既に移転を始めている。深圳、東莞、上海、大連などの沿海各地は、高付加価値の外資を引き続き優遇するが、低付加価値の工場については、内陸部への移転をすすめる。内陸部の都市は、経済の活性化と失業率の低下に大きく役立つとして、インフラを整備し、受入れの準備に着手している。
◆中国労働データ(2006年末)
1.雇用状況
中国の雇用者総数は7億6400万人、前年比575万人の増加となった。GDP 2兆6600億ドル・前年比10.7%増という高度成長に支えられ、都市部登録失業率も4.1%と0.1%低下し、同失業者数は847万人であった。 雇用構造は、第一次産業3億2500万人(42.6%)、第二次産業1億9200万人(25.2%)、第三次産業2億4600万人(32.2%)である。割合としては、第一次産業が減少、第三次産業が増加し、第二次産業には変化が無かった。
2.職業紹介
職業紹介機関は、37450箇所(前年比1703箇所増)に達した。内、公共職業紹介所が24777箇所であり、延べ1万8465人が再就職に成功した(前年比20%)。
3.職業訓練
技工学校は2880校に増え、訓練生数が321万人に達した(前年比46万人)。また社会にも開放し、延べ338万人の訓練を行なった(前年比 23.6%増)。この他に、就業訓練センター3212箇所、民営訓練機関21462箇所において、延べ1905万人に対して、職業訓練を実施した。失業者645万人も訓練を受けた。
4.技能検定
技能検定機関数は7957機関、検定員が16万人。1182万が検定を受検し(前年比18%増)、925万人が各種検定に合格した(前年比11%増)。
※ 田成平(労働社会保障部長)発言(ワシントン ブルッキングス研究所) 「中国の都市部で毎年2400万人の雇用需要を生じるが、就職できるのは約1100万人であり、1300万人が就職できず、更に、農村部の労働力4億9700万人がおり、2億人が出稼ぎ、1億8000万人が農作業に従事しているが、このようなラフな計算でも、なお1億人強の農民が余剰労働力となっている」。
〔注釈〕富士通総研の上席研究員柯隆氏は、都市部の登録人口1億9000万人に対して2100万人が失業状態にあり、農村部4億9000万人に対して1億人以上が失業状態にあるので、失業率は最低でも17.8%、20%近くになる、と述べている。
◆中国の社会保険データ(2006年)
1.養老保険(年金)
1)都市基本養老保険
付保者数が1億8700万人(内訳は、就業者1億4100万人、定年退職者4600万人)。
※基本養老保険に加入している農村からの出稼ぎ労働者は1417万人。
2)農村養老保険
付保者数が5374万人。保険受給者数は355万人で、受領総額が30億元である。一人当たり年額845元(約13,520日本円)。月額70元(1120日本円)となる。
2.失業保険
失業保険加入者数は、1億1187万人(前年比539万人増)。失業保険受給者が327万人(前年比35万人減)であった。
失業保険の収入は、385億元(前年比15.8%増)。基金の支出が193億元(前年比6.9%減)。基金累計額は、708億元に達した。
3.医療保険
基本医療保険加入者数は、1億5732万人(前年比1949万人増)。内訳は、在職者が1億1580万人、定年退職者が4152万人である。基本医療保険に加入している出稼ぎ労働者2367万人になった。
医療保険基金収入は、1747億元(前年比24.3%増)。支出が1277億元(同18,3%増)基金累計額が1752億元に達した。
4.工傷保険(労災)
工傷保険加入者数は、1億268万人(前年比1790万人増)。内、出稼ぎ労働者の加入者数が2537万人。給付者数が78万人(前年比13万人増)である。
工傷保険基金収入は、122億元(31.7%増)。支出が68.5億元(44.2%増)。基金累計額は、193億間に達した。
5.生育保険(出産)
生育保険加入者数は、6459万人(前年比1051万人増)。保険受給者数が108万人(前年比46万人増)である。
生育保険基金収入は、62億元(前年比41.9%増)。支出が37億元(前年比36.8%増)基金の累計額は97億元に達した。
◆『労働契約法』が2008年1月1日から施行
2007年6月29日、『労働契約法』が公布され、2008年1月1日に施行されることになった。『労働法』第二章「労働契約及び集団契約」(6条~52条)を独立させ、『労働契約法』(五章98条)とした。労働者の保護と長期雇用促進が、詳しく明確に規定されたのである。
労働契約は、同法10条により1ヶ月以内の締結義務が規定され、1ヶ月を超えても(1年以内)締結しなかった場合、雇用者は給与の倍額を支払わなければならない。また同法第9条により、逃亡予防策として行われてきた身分証明書の強制保管・保証金の強制積み立てが禁止された。長期雇用促進については、第14条に、10年以上勤務したもの(第1項)・契約を2回更新したもの(第3項)は期間の定めなき雇用(正社員)へ移行することが規定されている。
派遣会社は、50万元以上の資本金(57条)及び派遣社員と2年間以上の雇用契約(58条)が義務づけられた。試用期間についても、最長の6ヶ月の場合は契約期間を3年以上(19条)、給与は社内同等業務の80%以上(20条)と定められ、その濫用を防いでいる。
