いわゆる「先富論」である。確かに一部の人、一部の地域は裕福になったが、裕福になった人や地域は「先富」に専念し、落伍した人や地域を「援助」しなかった。
沿海地域の東部は、外資導入の恩恵を受け裕福になったが、内陸の西部は立ち遅れ、中部がその中間であった。最も貧しい貴州省の農業従事者の年収(2006年)は2000元(約3万円)であり、上海市民の10分の1となっている。
1997年の1人当りの年収は、農村が2090元、都市が5160元。07年には農村が4140元、都市が1万3786元。収入は1:3、可処分所得で 1:4、社会保障を考慮すれば、1:5という格差になる。社会科学院 では、1:6という試算もでた。
中国は、都市と農村の二重社会を形成している。収入の格差があれば、高い収入を目指して、内陸から沿海へ、農村から都市へと人は移動する。1億3千万人の出稼ぎ労働者は、こうして生まれた。
都市における出稼ぎ労働者の収入は、都市の労働者よりも低い。 「同一労働、同一賃金」の原則は適用されず、都市によっては、法定の最低賃金も適用除外となり、更には、賃金未払いも多発するようになっていた。
そこで、胡錦涛国家主席は、「調和社会」の実現を目標に掲げ、農業関連の撤廃・軽減、最低賃金の引上げ、労働契約法の施行などの措置をとり、農民と労働者の保護に乗り出した。3月5日に開催された第11期全国人民代表大会において、温家宝首相は、弱者保護とインフレ抑制の路線を明確にした。

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