中国最新鉄道事情(チベット鉄道)視察訪中団

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中国鉄道発展の新事情 2006年訪中団 概要

 目覚ましい発展を見せる中国鉄道界、その最新事情を見ようと、35名で構成された「最新中国鉄道事情とチベット鉄道視察訪中団」は8月28日北京に降り立った。訪中団は、旅装を解かずにそのまま北京西駅を訪れた。96年に新装なった北京西駅は、それまで北京の中枢だった北京駅に代わるターミナル駅として大変な賑わいである。この駅舎にはホテルが併設されている。これは中国では本当に珍しい例である。

 翌29日は、訪中団にとって重要な中国の鉄道事情講演会である。9時からまず、「中国最新鉄道事情」というテーマで、『人民鉄道報』研究企画部主任の王益中氏の講演である。中国最大の発行部数を誇る日刊鉄道紙の編集幹部である王氏は、「現在の中国鉄道状況は、中国国民の経済的な発展の現状に合わなくなっている」ことを指摘。具体的には①輸送力の不足 ②技術設備レベルの低さ ③建設資金の不足 ④余剰従業員数の多さ ⑤サービスの遅れ、などを挙げ、その矛盾を解決するために、中国鉄道の発展戦略が生まれたことを明らかにした。
 王氏の講演後、活発な質疑応答を経て昼休みに入った。
 午後からは、中国交通運輸協会の副会長・焦桐善氏から、「中国都市鉄道事情」の講演に入った。焦氏は、中国が90年代になると、都市人口の急増、都市規模の拡張、車の急速な増加、都市の住居条件も大きく変化し、大都市の交通と環境に多くの問題をもたらしたこと。交通渋滞も益々深刻になり、都市環境が悪化し続けている状況を挙げた。そのため、都市鉄道を発展させることが、大都市の公共交通発展の基本方針であると語った。
 最後のテーマが「青蔵鉄道(通称チベット鉄道)について」である。中国鉄路工程総公司青蔵鉄路建設指揮部技術保障部副部長の工程師である朱高明氏が、高山病の危険性がある中での厳しい建設状況だったことや、環境面での対策など、青蔵鉄道の今日的な意味を語った。
 翌30日は、その青蔵鉄道の乗車である。その日、空路北京から西寧に入った。青海省の省都である西寧は、2200mほどの高地にあり、空気はやはり北京とは違う感がある。西寧では、近郊にある中国で最大規模であるチベット仏教の有名なタール寺を参観した。漢文化とは明らかに様相が違うチベット文化圏に来たことを実感する。
 いよいよチベットへ、青蔵鉄道の乗車である。夕刻の西寧駅は乗車する人々でごった返している。7月1日に開通したばかりの青蔵鉄道は、北京などに在住する外国人をはじめ中国人たちにも、世界一標高が高い高原列車と身近になった「秘境チベット」への関心を呼び、過熱とも思えるほど鉄道によるチベット行きが殺到し、乗車券取得の難しさに直面した。込み合う構内は、何かしらそのことを象徴するかのような雰囲気を漂よわせていた。
 夜8時、列車は静かにラサに向けて出発した。音楽が鳴り響く車内も10時になると止み、眠りについた。
 明け方7時、車内の音楽が始まった。起床だ。すぐに初めて停車する駅に着いた。格爾木(ゴルムド)だ。標高は2800m、下車することも出来たので、ホームに降り立つ。何人かのチベット人らしき現地の人々が車内に乗り込む。列車は20分ほど経って走り出す。
 車窓から見えるのはチベット高原だ。薄茶色の大地、薄い緑に覆われたような草原が果てしなく続く。遠くには雪をいただく崑崙山脈の山々が見えてくる。広がる雲と抜けるような深い青空がどこまでも続く。雄大で神々しさを漂わせる峰々が、チベット鉄道によって多くの人々の眼にしっかり捉えられた。まさに「天空へと伸びる鉄道」だ。
 午後2時過ぎ、標高が一番高い5072mのタングラ峠(唐古拉)に差し掛かる。唐古拉駅に着き停車はしたが、残念ながら下車することは出来なかった。やはり高山病を心配した処置なのだろうか。  
 車窓から見える素晴らしい風景も終幕に近づいてきた。ラサ駅に着いたのは夜の10時半過ぎである。26時間ほどの鉄道の旅は終わった。
 翌9月1日は、ラサのポタラ宮殿見学だ。ここも青蔵鉄道の過熱な人気を反映して観光客が急増し、1時間という時間制限つきの参観である。このあと、ラサ駅に向かった。ポタラ宮殿を似せて設計されたラサ駅は、前夜着いた時とは打って変わって人はほとんどいない。澄み切った青空がどこまでも広がっている。
 心配された高山病に罹ることなく、全員ラサでの丸1日の滞在を終えた。これも事前に高山病に詳しい増山茂、齋藤惇生両先生の助言に従って、高山病予防対策を十分に取ったことが良かったのだろう。
 我々はラサから空路、重慶に向かった。重慶空港に着いてすぐに重慶市軌道交通総公司の本社に向かう。この公司は、日本の経済・技術によって開業した重慶モノレールの運営主体である。本社には重慶モノレール整備で指導的な役割を果たされた海外鉄道技術協力協会最高技術顧問の菅原操氏、公司の沈暁陽総経理、官波副総経理らが出迎えてくださり、昨年6月から運転を開始した中国初のモノレールの意義を話していただいた。その後モノレールに乗り、菅原氏、沈氏らを交えて夕食会を行い、和やかに歓談した。翌日は上海である。発展する中国を象徴する上海・浦東の世界一高い金茂大厦に上がり、高層ビルが並び立つ上海の発展ぶりに改めて驚かされる。
 翌4日は、世界で初めて実践化されたリニアカーの乗車である。中国の関係者からの丁寧な説明を受け、時速431kmというリニアカー体験を終えて帰国の途に着いた。 
 全員無事に帰国できたことは、高山病に関して適切な指導とご協力をいただいた増山茂先生、齋藤惇生先生のお陰である。最後に、改めて両先生に感謝の意を表したい。

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チベット鉄道高地用機関車

 

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ポタラ宮殿を前にした視察訪中団一行

 

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中国最新鉄道事情視察旅行 (感想)

     (社)日中科学技術文化センター 
            会長 野沢太三

 8月28日から9月4日にかけて、最近の中国鉄道事情の視察団を募り、35名の皆様に御参加を頂き、団長として無事行って参りました。

 先ず北京に入り、最新の中国鉄道事情について「人民鉄道報」編集幹部である王益中氏から講演を頂き、中国鉄道の概況を把握した。
 又、発展する中国の大都市交通について、中国交通運輸協会副会長の焦桐善氏から、お話を伺い、旺盛な需要と対応策の緊急性について認識を新たにした。
 更に今回の視察の柱の一つであるチベット鉄道について建設を担当した朱高明技師から苦心談を伺い、高山病対策や、環境保全の創意工夫に感動した次第です。
 中国の鉄道は現在でも世界のトップレベルの輸送量を有し、今後の発展も予想されることから、2020年までに現在7万3千粁の線路を10万粁程度まで建設し、複線化率、電化率共に50%に向上させる計画に取組んでいることは注目される。特に在来幹線の輸送力増強のため、四縦四横からなる1万2千粁の旅客専用線を建設し、客貨分離と新幹線鉄道の実現を併せて計画していることは重要である。中国のエネルギー事情と環境対策の両面から、輸送面で鉄道を重視する政策は適切な方向といえよう。
 懸案の北京―上海の新幹線は各国の技術協力を得ながら中国独自の力で建設しようとしていることは意欲的である。
 視察の主目的である青蔵鉄道は西寧―ラサ間1956粁のうち、今回開通した1142粁が新線であり、標高4000m以上の区間が960粁に及び、最高地点は唐古拉(タングラ)峠の5072mである。中国の西部開発の目玉として2001年に着工し2006年7月に開通した。総投資額は約300億元であり、永久凍土の上を550粁に亘って通過することもあり、環境対策には格別の配慮がなされている。チベットの第2の夜明けとも言えるプロジェクトである。
 今回は西寧からラサまで26時間に及ぶ寝台列車の旅行であったが果てしなく拡がる大地に鉄道旅行の醍醐味を満喫した次第である。
   

  所感を車中で浮かんだ俳句に託す。

 雲上の土漠は既に秋の風

 馬羊やく群れ遊ぶ枯野原

 天地の始まり想う山と谷

 天空の道遥かなり雪の峰

 天地のかくも間近やタングラム

 西蔵を目指せし道は今鉄路


 重慶では日本の技術、資金協力により開通したモノレールに試乗し、重慶市軌道交通発展総公司沈総経理から直接お話を伺うことができた。山坂の多い重慶市にとり最適のシステムを選択されたものとして評価が高く利用者は累増し、今後が楽しみである。
 上海ではJR西日本の森原所長より話を伺い,全体の締めくくりとなったのは幸いである。      

 旅行の最後は、石建慶氏の説明を頂き、浦東空港へリニアーに乗り、431k/hの高速運転を体験することができた。

ラサのポタラ宮殿

 

夏の宮殿

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このページは、佐藤 清美が2008年3月28日 16:54に書いたブログ記事です。

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